インフレに負けない資産づくり:金利上昇・景気拡大局面での「乗り物」の選び方

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はじめまして、FPいけだです。

ここまで、NISA/iDeCoでの資産形成の開始、リスクへの正しい向き合い方、そして最適な資産配分(アセットアロケーション)について学んできました。あなたの資産形成の仕組みは着実に動き始めています。

しかし、ニュースを見て、こんな疑問を抱えていませんか?

40代<br>サラリーマン
40代
サラリーマン

「最近、物価がどんどん上がっている(インフレ)。銀行に預けているお金の価値が目減りするのでは?」
「日本でも金利が上がるかもしれないと聞く。投資への影響は?」

40代の資産形成は、「時間をかけて増やす」だけでなく、「インフレから資産を守る」というもう一つの重要な課題に直面しています。現金を銀行に預けているだけでは、物価の上昇(インフレ)によって実質的な購買力が奪われてしまうからです。

FPいけだ
FPいけだ

金利や景気の動向といったマクロ経済の波を理解し、その波に乗ってくれる「乗り物(金融商品)」を選ぶことが、インフレに負けない資産づくりには不可欠です。

この記事では、景気や金利の動きがあなたの資産にどう影響するかを解説し、特に景気拡大・金利上昇という局面に備えるための「攻め」と「守り」の乗り物の選び方を、FPの視点から具体的にお伝えします。

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 金利・景気の動向が、株式・債券といったあなたの資産にどう影響するかがわかる。
  • 景気拡大(インフレ)局面で、価格の上昇が期待できる「攻めの乗り物」がわかる。
  • 金利上昇局面に備えるための「守りの乗り物」(変動金利型の商品)の具体的な選び方がわかる。※便宜上「守り」といっていますが、投資にはリスクがあり資産が減少する可能性があります。
  • マクロ経済の動きを恐れず、資産形成の戦略に活かすための考え方が身につく。

マクロ経済の基礎:金利・景気と金融市場の関係

私たちが暮らす経済は、金利と景気という二つの大きな波によって動かされています。この波が、あなたの投資する金融商品の価格を左右します。

1. 景気動向と金融市場の関係

景気局面  企業業績  株式市場  債券市場
景気拡大利益↑株価↑安定または↓
景気後退利益↓株価↓債券価格↑(安全資産として買われる)

【景気拡大局面】 企業が活発に活動し、利益が増えるため、株式の価値は上がりやすい傾向にあります。これに伴い、物価が継続的に上昇するインフレが発生しやすくなります。この局面では、現金や預金は実質的に価値が目減りするため、インフレの勢いに乗る資産が必要です。

2. 金利動向と金融市場の関係

金利は「お金のレンタル料」であり、景気の過熱やインフレを抑えるために、中央銀行が操作します。

金利動向 景気動向   債券価格  為替(円)
金利上昇景気過熱
インフレ対策
債券価格↓円高(金利の高い自国通貨が買われる)
金利低下景気低迷
デフレ対策
債券価格↑円安(金利の低い自国通貨が売られる)

【金利上昇局面】 既に発行されている固定金利の債券は、新しく発行される金利の高い債券に比べて魅力が下がるため、価格が下落します。金利上昇は債券投資の最大の敵であり、「守り」の資産が機能しなくなるリスクがあります。


景気拡大局面で「攻める」乗り物:株式(インデックス投資)

インフレが起こりやすい景気拡大局面では、「モノやサービスを生み出す企業の力」に乗ることが、インフレに負けないための最も効果的な「攻め」の戦略です。

株式(投資信託)はインフレに強い

企業は、インフレによって原材料費や人件費が上がっても、製品の価格に転嫁することで利益を維持・拡大しようとします。そのため、インフレが進むほど、企業の売上や利益は名目ベースで膨らみやすく、それに連動して株価も上昇する傾向があります。

40代の「攻めの戦略」

  1. 「全世界株式」を中心とする:
    • 特定の国(日本や米国)だけに頼るのではなく、全世界の優良企業の成長を丸ごと享受できる投資信託をNISAのコアに据えましょう。これにより、世界の景気拡大の波を最大限に捉えることができます。
  2. 積立を継続する:
    • 景気が拡大し株価が上昇しても、前回の記事で解説したドルコスト平均法に基づき、淡々と積立を継続します。長期的に見れば、景気拡大の恩恵があなたの資産を押し上げてくれます。

株式は、短期的な変動リスクは高いものの、インフレに対する「実質的な価値」を維持・向上させる能力に長けた、40代の資産形成における最強の「攻めの乗り物」です。


金利上昇に備える「守る」乗り物:変動金利型国債の活用

金利が上昇すると、これまで「安全な守りの資産」とされていた固定金利の普通預金定期預金固定金利債券は、インフレによって実質価値が目減りするか、価格が下落するというジレンマを抱えます。

このリスクに備えるための最適な「守りの乗り物」が、変動金利型個人向け国債です。

変動金利型個人向け国債の具体的なメリット

個人向け国債(変動10年)は、国が発行しているため信用度が高く、元本割れのリスクが極めて低い「守りの資産」の代表格です。

特徴    内容金利上昇局面でのメリット
金利タイプ変動金利型
(半年ごとに金利が見直される)
金利が上がれば、受け取れる金利も上がる。金利上昇の恩恵を受けられる。
元本保証元本割れしない
(額面1万円で購入すれば、1万円で満期償還)
投資リスクがゼロ。緊急資金や近いうちに使う教育費の待機場所に最適。
最低金利年率0.05%の最低保証金利がある。金利が低い現状でも、銀行預金(ほぼゼロ金利)より有利。

40代の「守りの戦略」での活用法

  1. 教育費の一部を預ける
    • 5年後〜10年後に使用予定の教育資金の一部を、変動金利型個人向け国債に預け入れましょう。安全性を確保しながら、将来的な金利上昇(インフレ対策)の恩恵を逃しません。
  2. 緊急予備資金として活用
    • 万が一の時の緊急予備資金を、流動性の低い定期預金や、インフレで目減りする普通預金に全額置くのではなく、この国債に預けることで、安全性将来的な金利対応力を両立できます。
  3. ただし、換金は発行から1年間はできません。

まとめ:マクロの波を恐れず、戦略的に備える

金利上昇や景気拡大といったマクロ経済の波は、40代の資産形成にとって「不安の種」ではなく、「乗り物を最適化するチャンス」です。

インフレに負けない、そして金利上昇にも対応できる資産ポートフォリオを構築しましょう。

  • 「攻め」(長期的な成長とインフレ対抗):
    • NISAを活用し、全世界株式の投資信託などで景気拡大の恩恵を享受する。
  • 「守り」(安全性と金利上昇対応)
    • 緊急資金や近いうちに使う資金の一部を、変動金利型個人向け国債などで安全に管理し、金利上昇に備える。

この二つの「乗り物」をアセットアロケーションの核に据えることで、あなたはマクロ経済の波に左右されず、安心して資産形成の旅を続けることができます。

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