知らずに損していませんか?投資で得た利益にかかる税金と非課税の境界線

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はじめまして、FPいけだです。

ここまで、私たちはNISAを活用した積立投資を「攻め」の柱に据え、着実に資産を育てる方法を学んできました。投資を始めたら、次に知っておくべきは「税金」の知識です。

40代<br>サラリーマン
40代
サラリーマン

「投資で利益が出たら、確定申告が必要?」
「投資信託の分配金を受け取ったけれど、このお金にも税金がかかっているの?」

お金を増やすスキルと同じくらい、税金のルールを知ることは重要です。なぜなら、税金の知識が不十分だと、本来手元に残せたはずのお金を失うことになりかねないからです。

特に、投資で得た利益(リターン)は、原則として約20%の税金がかかります。

FPいけだ
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しかし、この税金を「非課税(タダ)」にできる仕組みこそが、NISAです。

この記事では、投資で得た利益にどう税金がかかるのかという基本ルールと、投資信託特有の「非課税の分配金」の仕組み、そして税制優遇を最大限に活かすためのポイントを、FPの視点からわかりやすく解説します。

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 株式や投資信託の利益にかかる税金の基本ルールと税率がわかる。
  • 投資信託の分配金における「課税」と「非課税」の境界線がわかる。
  • NISA口座の真のメリットを再確認し、税制優遇を最大限に活かす方法がわかる。

1. 投資で得た利益にかかる税金の基本ルール

私たちが給与所得にかかる税金(所得税・住民税)とは別に、株式や投資信託などの金融商品から得た利益にかかる税金は、基本的に「申告分離課税」という方式で計算されます。

課税対象となる利益と税率

投資で税金がかかるのは、主に以下の2種類です。

利益の種類概要適用税率(原則)課税方式
売却利益
(譲渡所得)
株式や投資信託を売却して得た利益20.315%申告分離課税
配当金・分配金
(配当所得)
株式の配当金や投資信託の収益分配金20.315%申告分離課税など

【税率の内訳】 税率20.315%の内訳は、所得税15%住民税5%、そして復興特別所得税0.315%(2037年まで)の合計です。

Point:源泉徴収ありの特定口座を選べば確定申告は不要

一般の40代サラリーマンが投資をする場合、ほとんどのケースで「特定口座(源泉徴収あり)」を選びます。

  • 利益が発生した際に、証券会社が自動的に税金を計算し、差し引いて(源泉徴収して)くれます。
  • 原則として、あなたは確定申告をする必要がありません。
  • 忙しい40代にとって、この「手間がかからない」という点が最大のメリットです。

2. 知らないと損する!投資信託の「非課税の分配金」

投資信託を保有していると定期的に支払われる「分配金」は、すべてが課税対象となるわけではありません。ここに、投資信託特有の注意点があります。

分配金には、普通分配金(課税対象)」と「元本払戻金(特別分配金:非課税対象)」の2種類があります。

投資信託の分配金の違い

分配金の種類概要課税区分
普通分配金投資信託の利益(運用益)から支払われた部分。課税(税率20.315%)
元本払戻金
(特別分配金)
投資家が投資した元本の一部が払い戻された部分。非課税

具体例で理解する境界線:分配金を支払うと基準価額は下がる

投資信託の価格は基準価額」と呼ばれ、その投資信託が持っているすべての資産の時価総額を口数(くちすう:投資単位)で割ったものです。

そして、投資信託が分配金を支払うということは、ファンド内の資産から現金を切り離して払い出すということです。そのため、分配金を支払うと、その分だけ基準価額は必ず下がります(これを権利落ちといいます)。

あなたが1口10,000円で投資信託を購入し、分配金が支払われた際の具体例を見てみましょう。

状況分配前の基準価額分配金支払い額普通分配金(課税)元本払戻金(非課税)分配後の基準価額
A. 利益が出ている時12,000円2,000円2,000円0円12,000円 – 2,000円 = 10,000円
B. 利益が出ていない時9,000円2,000円0円2,000円9,000円 – 2,000円 = 7,000円
  • 状況A(普通分配金)
    • 基準価額(12,000円)があなたの元本(10,000円)を上回っているため、分配金はすべて利益(2,000円)と見なされ、課税対象です。分配後の基準価額は10,000円に戻ります。
  • 状況B(元本払戻金)
    • 基準価額(9,000円)があなたの元本(10,000円)を下回っているため、分配金は元本の一部(2,000円)の払い戻しと見なされ、非課税となります。しかし、その結果、分配後の基準価額は7,000円にまで大きく下がり、実質的にあなたの資産は減っていることになります。

元本払戻金は非課税ですが、これは「タコ足配当」とも呼ばれ、あなたの投資元本が減っていることを意味します。分配金が多いからといって安易に飛びつかず、基準価額が元本を下回っていないかを必ず確認しましょう。特に長期で資産を増やす目的なら、分配金を自動で再投資するタイプの投資信託を選び、税金を繰り延べる戦略が基本です。


3. NISA口座こそが最強の「非課税の境界線」

ここまで見てきたように、投資の利益には必ず税金がかかります。しかし、この課税の基本ルールを根本から覆すのが、NISA(少額投資非課税制度)です。

NISAの真のメリット再確認

NISA口座内で投資をして得た利益は、種類に関わらずすべて非課税になります。

利益の種類   概要NISA口座の場合  特定口座・一般口座の場合   
売却利益
(譲渡所得)
株式や投資信託を売却して得た利益税金ゼロ20.315%課税
配当金・分配金
(配当所得)
株式の配当金や投資信託の収益分配金税金ゼロ20.315%課税

「約20%の税金がタダになる」ということは、リターンが約1.26倍になるのと同じ効果があります。たとえば、100万円の利益が出た場合、特定口座なら80万円しか手元に残りませんが、NISAなら100万円まるごと残せます。

税制優遇を最大限に活かすためのポイント

  1. NISA枠を最優先で活用する
    • 毎月の積立額が年間のNISA枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=合計360万円)に収まるなら、すべてNISA口座内で完結させましょう。
    • 特に、長期で複利効果を狙う全世界株式やS&P500といったインデックスファンドは、非課税の恩恵が最も大きくなるため、NISA枠で優先的に積立てるべきです。
  2. 分配金は「再投資型」を選ぶ
    • 分配金を受け取らずに再投資に回すことで、その再投資した元本から得られる将来の利益も非課税になります(非課税枠内での複利効果)。
  3. 損益通算はできないと知っておく
    • NISA口座内で損失が出ても、他の特定口座の利益と相殺する「損益通算」はできません。ただし、長期の積立投資であれば、損失を出す可能性は低いため、この点は大きなデメリットにはなりにくいです。

まとめ:非課税の境界線を知り、あなたの資産を守る

税金は、あなたの資産形成のスピードを左右する重要な要因です。

40代のあなたが税制優遇を最大限に活かすための行動指針は以下の通りです。

  1. 課税のルールを理解する
    • 投資の利益には約20%の税金がかかることを前提として知っておく。
  2. NISAを徹底活用する
    • 投資にかかる税金は、NISA口座の非課税という制度を最大限活用する。
  3. 分配金の「罠」に注意する
    • 投資信託の分配金は、すべてが利益ではない(元本払戻金がある)ことを知り、再投資型を選んで複利効果を狙う。

税金について正しく理解することで、あなたの資産形成の旅は、より速く、より確実にゴールへと近づくでしょう。

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