退職金はどうなる?確定拠出年金(DC)の企業型とiDeCoの徹底比較

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はじめまして、FPいけだです。

前回の記事で、私たちは投資で得た利益にかかる税金の仕組みと、NISAという最強の非課税制度について確認しました。NISAは老後資金づくりにおいて、「攻めの資産」を育てるための柱です。

しかし、40代の老後資金づくりには、もう一つの強力な「節税しながら資産を育てる柱」があります。それが、確定拠出年金(DC)です。

「退職金制度がない(または少ない)ので、老後が不安だ…」
「会社の企業型DCと、自分で加入できるiDeCoの違いがよく分からない…」

確定拠出年金は、NISAと並び「税制優遇の三種の神器」と呼ばれるほど強力な制度です。

FPいけだ
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この制度を理解し、最大限に活用できるかどうかで、あなたの老後資金の貯まり方と毎年の税金に大きな差が出ます。

この記事では、40代の老後資金準備の柱となる確定拠出年金(企業型DCとiDeCo)の全体像を説明し、両者の違いを徹底比較します。さらに、特に節税効果を最大化するための活用法を、FPの視点から解説します。

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 確定拠出年金(DC)が老後資金においてどのような役割を果たすかがわかる。
  • 企業型DCiDeCoの主な違いと、あなたの会社がどちらに該当するかで取るべき行動がわかる。
  • iDeCoの所得控除企業型DCのマッチング拠出など、節税効果を最大化する具体的な方法がわかる。

1. 40代の老後資金の柱:確定拠出年金(DC)の全体像

確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)とは、文字通り「掛金(拠出)が確定している年金」のことで、将来受け取る給付額は、加入者自身が選んだ運用商品の成果によって変動する私的年金制度です。NISAと同じく投資による資産運用となりますので、資産が減少する恐れがあることを知っておきましょう。

40代の老後資金対策として、DC制度は以下の2種類に分かれます。

  1. 企業型確定拠出年金(企業型DC)
    • 企業が掛金を拠出し、従業員が運用指図を行う制度。
  2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)
    • 個人が任意で加入し、掛金の拠出と運用指図の両方を行う制度。

確定拠出年金の「3段階の税制優遇」

DC制度が最強と言われる理由は、以下の3つの段階で強力な税制優遇を受けられるためです。

段階         税制優遇の内容効果
1. 拠出時
(掛金を出すとき)
掛金が全額所得控除の対象となる。
(企業型DCの企業拠出分は非課税)
毎年の所得税・住民税が軽減される。
2. 運用時
(資産を育てる間)
運用益(利益)が非課税となる。
(NISAと同じ)
複利効果を最大化できる。
3. 給付時
(お金を受け取るとき)
一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象となる。受取時にも大きな控除が受けられる。

このトリプルメリットを活用しない手はありません。


2. 徹底比較:企業型DCとiDeCoの主な違い

あなたの会社に企業型DCがあるかどうかによって、活用法が大きく異なります。まずは両者の基本的な違いを確認しましょう。

比較項目      企業型確定拠出年金
(企業型DC)    
個人型確定拠出年金
(iDeCo)
加入者の範囲企業に制度がある会社の従業員原則20歳以上65歳未満のすべての人(※企業型DC加入者も条件付きで可)
掛金拠出の主体原則として企業(会社)加入者本人
掛金の上限額月額55,000円
(他制度がある場合は27,500円)など
職業や加入状況により異なる
(例: サラリーマンは月額23,000円が上限)
拠出時の税制優遇企業拠出分
給与とならず非課税
個人拠出分
全額所得控除(年末調整や確定申告で還付)
運営管理費用原則として企業が負担加入者本人が負担
(金融機関によって異なる)
資産の移換転職・退職時にiDeCoまたは次の企業のDCへ移換が必要原則60歳まで資金の引き出し不可

あなたの会社に企業型DCがある場合、まずは会社の掛金がいくらか、そして次に説明する「マッチング拠出」が可能かどうかを確認することが、節税への第一歩です。


3. 節税効果を最大化する!DCの賢い活用法

確定拠出年金は、ただ積立てるだけでなく、その「掛金」の仕組みを理解することで、さらに大きな節税効果を得ることができます。

iDeCoの活用法:掛金全額所得控除の恩恵を最大限に

iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額「所得控除」の対象になることです。

  • 節税効果のメカニズム
    • 毎月1万円(年間12万円)拠出した場合、あなたの課税対象となる所得が12万円減ります。所得税率が20%だとすると、12万円 × (所得税20% + 住民税10%) = 36,000円が税金として戻ってくる計算になります。
  • 行動
    • NISA枠を使い切った後や、NISAと並行して、まずは自分の上限額(サラリーマンなら月23,000円など)まで積立てることを検討しましょう。

企業型DCの活用法:マッチング拠出をフル活用する

企業型DCを導入している会社では、「マッチング拠出」という制度を利用できる場合があります。

マッチング拠出とは:企業が拠出する掛金に加えて、従業員自身が追加で掛金を拠出できる制度です。

  • 最大のメリット
    • 従業員が拠出したこのマッチング拠出分も、iDeCoと同様に全額が所得控除の対象となり、税金が軽減されます。
  • 注意点(上限ルール)
    • 従業員拠出額は、企業の掛金を超えてはならない
    • 企業拠出額と従業員拠出額の合計が、全体の拠出限度額を超えてはならない
    • 例: 企業が月に5,000円を拠出している場合、従業員は最大5,000円までマッチング拠出が可能です。この5,000円が全額所得控除の対象となります。

企業型DC加入者で「マッチング拠出」が可能な場合、これを活用しないのは非常に損です。まずは人事や総務に確認し、活用しましょう。


まとめ:あなたの退職金は自分で育てる時代へ

確定拠出年金(企業型DCとiDeCo)は、「将来の自分への給料」を、国が税金優遇で応援してくれる制度です。40代のあなたは、老後資金を準備するにあたり、この制度を最大限理解し、活用していきましょう。

  • あなたの会社に「企業型DC」があるかを確認する。ある場合は「マッチング拠出」が可能かをチェックする。
  • 企業型DCに加入していない場合、iDeCoへの加入を検討し、まずは無理のない範囲で積立を開始する。
  • 企業型DC/iDeCo内の運用商品は、前回記事で推奨した低コストのインデックスファンド(全世界株式など)を選び、長期運用で複利効果を狙う。

NISAと確定拠出年金を両輪で回すことが、40代のあなたが「お金の不安」から解放されるための最短ルートです。

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